院内だより

飲み方のススメ

 夏も本番!今年は節電対策もあり、暑さも厳しさが増しますね。飲み物を摂取する機会が多いこのような時こそ、飲み物に注目してみましょう。

 皆さんは「pH(ペーハー)値」をご存知ですか?pHとは、酸性かアルカリ性かの割合を示す数値です。中性が7、数値が7より小さくなるほど酸性の度合いが強くなり、7より大きくなるとアルカリ性が強くなります。
 飲食の直後は口腔内の細菌が糖分から酸を作り、歯垢のpHが低下します。平常時は平均pH6.8くらいに保たれていますが、飲食の際に酸性に傾きます。pH5.5以下になると歯のエナメル質が脱灰され始めます(個人の歯質や歯の石灰化度にもよるのであくまでも目安です)。ですがその後、唾液の緩衝作用により酸が中和され中性へと回復し、再石灰化を促します。この脱灰と再石灰化のバランスを保つことが大切です。

 図を参考に、飲み物のpH値を見てみて下さい。

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炭酸飲料などをお好きな方も多いと思いますが、これらはpH値が低いため、日常的にたくさん飲んでいると口腔内が酸性になる時間が長くなります。
 また、ほとんど甘さを感じない程度の少量の砂糖が入った飲み物も、短時間ではありますが摂取後の歯垢pHは下がると言われています。

 必要以上にこのような飲み物を警戒する必要はありません。ですが矯正治療中は装置が入っているため、歯磨きも難しく歯垢が残りやすい環境になるので、虫歯になりにくい口腔内にすることを心掛けましょう。歯磨きとフロスをしっかりやり、虫歯の原因である歯垢を落とすことが何よりも大事です。そしてきれいになった歯面にフッ素を塗りましょう。そうすることで歯の石灰化が促進され、歯質が強化されます!
 ちなみに、食後は口腔内が酸性に傾き脱灰しやすくなっているので、食後すぐ歯磨きをするとエナメル質への歯ブラシの器械的刺激が強くなる可能性があります。少し食休みをしてから歯磨きして頂くと、歯に優しいですよ。

 緑茶には自然のフッ素が含まれているので、飲みながらにしてフッ素をとり込めます。炭酸飲料をつい手に取ってしまう方も、緑茶に変えて一休みしてはいかがですか?そうはいっても、甘いジュースや爽快な炭酸飲料が飲みたい時もありますよね。そのような時に気をつけて頂くとよいポイントは、

*ちょこちょこ回数を分けて飲まないようにする。
食事の際に一緒に飲むのも良いでしょう。飲食の回数が増加すると歯垢pHが低下している状態が長くなるので、歯の脱灰が進みやすく、再石灰化量が減少します。間食においても言えることですが、「頻度」が虫歯になる重要な因子の一つです。

*就寝前は飲まないようにする。
寝ている間は唾液の分泌量が減少するので緩衝作用が弱まり、再石灰化量も少なくなるので気を付けましょう。寝る前の歯磨きとフッ素塗布は、虫歯予防効果があるのでお勧めします。

 ちょっとした心掛けで口腔内の環境は良くなります。健康な口腔内のもと、おいしく食べて飲んで夏を乗りきりましょう。
 

 

2011年07月28日 10:05

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