失敗しない矯正治療のためにやってほしいこと Ⅰ
1.やりたい理由を考える
どうして矯正をしたいと思いましたか?
歯並びが悪いといっても、その症状は人それぞれ異なります。例えば、犬歯が突出している(八重歯)、歯と歯の間にすき間がある(すきっ歯)、かみ合わせが逆になっている(受け口)、前歯でものが噛めない(開咬)、前歯が突出している(出っ歯)など。
口元が出ているなど、顔の見た目が気になっているかもしれません。
機能に問題があるかもしれません。噛み合わせがずれていると食事をしにくいことがあります。今の状態が当たり前だと思っていませんか? 本当の噛み合わせを体験したら、食事がよりおいしく食べられるかもしれません。
歯ぎしりがひどいという人もいるかもしれません。自分の歯をよく見てみて下さい。歯がすりへってしまってはいませんか?健康な歯は、歯に凹凸があります。
仕事中歯をくいしばっているという人もいるかもしれません。頬の筋肉が硬くなってはいませんか?顎関節と噛み合わせが調和していない可能性があります。
矯正をしたい理由、その主訴は人それぞれ異なります。どうして矯正治療をしたいと思ったのか、まずその理由を考えてみてください。
2.鏡で歯並びをチェックしてみよう
鏡で自分の歯をよく観察してみましょう。どうなっていますか?
まずは自分の歯並びをチェックしてみてください。
3.歯科矯正でできることを理解する
矯正で何ができるのかをしっかり知ることはとても大事なことです。
矯正することで小顔になるというメリットもあるようです。
4.矯正のデメリットを知っておく
矯正は、歯の上にブラケットという装置をつけてそれにワイヤーを通し、歯を動かしていくやり方が主流です。すべての歯を並べるのには時間もかかりますし、ワイヤーを締めた時は歯が動くため痛みも伴います。食事は装置にひっかかって食べにくいですし、歯磨きも大変です。矯正治療を受ける時のリスクについてあらかじめ知っておきましょう。
最近、マウスピース矯正やインビザラインという単語をよく耳にするようになりました。ワイヤー矯正に比べ、時間もお金もかからないということで、若い世代を中心に人気があるそうです。実際にマウスピース矯正やインビザラインを行っているクリニックのホームページをいくつか拝見しましたが、検査をして奥歯のかみ合わせや歯並びに大きな問題がなければ治療が受けられ、部分的な矯正でよいため短期間で治療が終わり、装置代がかからないから値段も安くなるという説明をされていました。ですが「検査をして…大きな問題がなければ」というところや「部分的な矯正」というところは気になってしまいます。
皆さんは、マウスピース矯正に関して訴訟が起きていることをご存知ですか?
『実質無料で歯科矯正ができるとしてモニターの契約をしたのに高額の費用を払わされたうえ、治療を中断され歯並びが悪くなるなどの健康被害を負ったと主張して全国各地の女性など150人余りが歯科医院などにあわせて2億6000万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。(NHK首都圏NEWSウェブ2023.6.6より)』
このニュースで、マウスピース矯正を受けた方の中には歯を削られ今も歯がしみる状態ですと訴えていた方もいらっしゃいました。マウスピース矯正では健康な歯を削ることもあるのだということを知りました。
「短期間で安く矯正治療をしたい」という人には、マウスピース矯正やインビザラインは夢のような治療法に思えるでしょう。けれど、適正な期間とそれなりの費用をかけて行うワイヤー矯正に比べ、本来得られるはずのメリットのすべてを得られることはなさそうです。
5.矯正治療の費用について知っておく
矯正治療には高額な費用がかかることは覚悟すべきでしょう。きちんとした治療を受けたいなら100万円はかかると思ってください。確かにそれだけを聞くと「高い!」と思われるでしょうが、インプラントという治療と比較してみたらどうでしょうか。
インプラントとは、人工の材料や部品を体に入れることの総称です。歯を失ったところの骨に土台を埋め込み、セラミックなどで作った人工歯を取り付けます。インプラント1本の費用相場は保険適用外で1本30万~40万円といいますから、28本もしくは32本の歯を並べる矯正治療の100万円は高い値段なのでしょうか?
入れ歯になってしまったことを考えてみて下さい。きっと歯医者に頻繁に通院することになるでしょう。入れ歯装着材や入れ歯洗浄剤も必要です。入れ歯になってしまったということは、自分の歯がだめになってしまったということです。虫歯や歯石を放置し、歯周病や歯肉炎を悪化させてしまい、神経に達するほど歯を悪くしてしまったら、その歯は抜かざるを得なくなります。インプラント治療をすればよいと思っていても、その時に骨や歯肉の状態がよくなければ、インプラントもできません。
高齢になったら入れ歯は仕方のないことですか?いえいえ、そんなことはありません。矯正で歯を並べると同時に歯のトラブルを直しておけば、1年に一度のクリーニングだけで、歯医者に頻繁に通う必要も、入れ歯治療も、入れ歯にかかる洗浄剤や装着材も必要ありません。
ブランドバッグや宝石の購入をちょっと我慢して、エステに通いジムに行くのをちょっと後回しにして、歯科矯正を考えてみませんか?矯正は「美しい笑顔」と「おいしい食事」を一生手にすることができることだと最初に述べました。高額な費用を払って得られる結果に満足ができるのなら後悔はないでしょう。
6.気持ちを固める
ここまで読んで、興味だけではなく実際にやろうと思ってくださった方!
ぜひ、アクションを起こしてください。
今はちょっとやめておこうと思われた方も、いつかその気になった時にはぜひアクションを起こしてくださいね。
気持ちを固めた方は、歯科矯正をしてくれるオフィスを探しに行きましょう。
次回の院内だよりでは、矯正オフィスの探し方についてお話します。