矯正治療について:矯正治療でできること

2. アゴの関節と歯並びの調和

口の中の歯並びとアゴ関節とはダイレクトな関係があります。図で解りますように、下アゴの一方に歯があり、他方の末端が関節につながっているわけです。この関節と歯のかみ合わせの調和を計るのも矯正治療の役目です。

またアゴの関節に問題があると、雑音を発したり開口がしにくくなったり関節に痛みがでてくる場合もありますが、かみ合わせ以外の原因による場合もあるため鑑別診断が必要です。小児の場合、アゴの発育に直接かかわりますので要注意です。

良いかみ合わせとは?
あご関節 あご関節
よい状態
悪い状態 1
悪い状態 2
動物実験からもわかるアゴ関節の重要性
動物の下アゴの骨
動物の下アゴの骨
動物実験で右側の円板のずれを作り出すと、下アゴの成長は右側の成長が抑制されるので、正中は右側に偏位することがわかります。ちょうど車の運転中に右側のみブレーキがかかったような状態です。このとき右側の下アゴは長さが短くなるだけではなく、高さも抑制されるのです。この実験が示すように、アゴ関節の問題は、下アゴの成長にも大きく影響するのです。

アゴの関節と円板

それでは、患者さんのCT・MRIの画像を通して、実際にアゴ関節の仕組みを見ていきましょう。

正常なアゴ関節
MRI像:円板の後方のふくらみは、時計の12時の位置にあります。/CT像:下アゴの一部である関節頭が関節窩の中で上方でやや前方に位置しています。
アゴの円板が前方に少しずれた例
MRI像:12才の患者です。円板が前方にずれ出しています。するとアゴ関節内での下アゴの位置はやや後方になり、正中は右側にずれてきます。同時に右側の臼歯が強く当たるようになり、歯牙のスリヘリが始まります。/CT像:下アゴの下顎頭はやや後方に位置し、先端の骨の形に変化がみられます。
アゴの円板が大きくずれた例
MRI像:円板は完全に前下方にずれました。アゴが引っかかったり開こうとすると痛みが出ることがあります。こうなる前の段階として、クリクリという音がアゴ関節ですることが多いです。関節の骨構造が変化し、アゴは大きくずれだします。上下の歯の咬み合わせは失われます。/CT像:下顎頭は更に後方そして上方に位置し、形も大きく変化し、関節窩の形も同様に変化します。