院内だより

2003年AAO・RWISO学会

日本列島梅雨真っ盛り。一年で一番湿気が高く食中毒などが懸念される時ですが、この時期に出てくる新ショウガや青梅には殺菌効果があるだけでなく、食欲のない時でも食べ物を美味しく感じさせてくれるようにできているのだそうです。自然の力って素晴らしいですね。さて、今年の5月ハワイのオアフ島で2つの学会が開かれました。その様子をレポートします。

1. 2003  AAO Annual Session
American Association of Orthodontists(AAO)アメリカ矯正学会は、約14,600人のドクターたちが所属する大きな団体組織です。一年に一度開かれる学会には、世界中から矯正歯科関係者たちが集まりホットな情報を共有しあいます。今年の会場は、ハワイ、ワイキキのコンベンションセンター。ワイキキのメインストリートであるカラカウア通りとカピオラニ通りの交差するところにあり、近くには有名なアラモアナ・ショッピングセンターがあります。4階建てのセンターの屋根は、ポリネシアのカヌーをイメージしたデザインとのこと。ガラスを使ったオープン感覚のロビーには本物のヤシの木や滝が流れ、ハワイらしい空間となっています。私たちは展示会場を訪れ、最新の矯正器具類を見て回りました。

会場には多くの矯正関連会社のブースが立ち並び、アロハシャツの営業マンが自慢とする商品を展示、紹介していました。会場の広さ、ブースの多さ、矯正具や歯磨きキットの種類の豊富さには驚いてしまいます。今回私たちのお目当てはバイトレジストレーションワックスと光重合という機器。なじみのない名前だと思いますが、皆さんの治療にとても大切な道具です。さて、一番興味深いブースはというとサンプル商品をたくさんくれるところ。バスタオル欲しさに商品についてひとしきり質問した後、バスタオルをねだってみましたがすでに品切れとのこと。残念。

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熱気あふれる展示会場の様子

日本ではプチ整形やエステに押されて矯正歯科はなかなか脚光を浴びませんが、アメリカで歯並びがきれいなことは当たりまえ。12歳の約70%の人々が矯正治療を受けているというデータもあるそうです。人々の矯正に対する関心がいかに強いかを実感しました。帰りの飛行機で「キャッチ ミー イフ ユーキャン」という映画を見ましたが、その中でレオナルド・ディカプリオ演じる天才詐欺師フランクが病院の看護師ブレンダに声をかけるシーンがあります。ブレンダは現在矯正中。フランクは彼女に「どう、その矯正具(ブレース)、気に入ってる?」と声をかけます。ブレースがとれたブレンダは、早速そのことをフランクに報告。そして二人にはロマンスが・・・。歯がきれいであることは、人生に幸せをもたらしてくれるのかもしれませんよ。

2. Roth Williams International Society of Orthodontists
ところ変わって、今度はオアフ島のウエストコースト、コオリナ・リゾートへ。アメリカ人の二人の先生、Roth先生とWilliam先生が立ち上げたRWISOの学会に参加するためです。3日間の学会初日、日本人のトップバッターとして発表されたのは、名古屋の小松真佐子先生。Roth先生におほめをいただく堂々とした発表でした。小松先生の発表の後は今回のビッグイベント『症例集』の紹介です。実は今回、池田先生がリーダーとなって立ち上げたスタディクラブの有志の先生方で、Roth Philosophyという症例集をRWISOの10周年記念として作成し二人の先生にプレゼントすることを密かに準備していました。本を渡されたときのRoth先生とBob先生の感激なさったこと。RWISOに寄与した28冊の本もあっという間に売り切れてしまいました。ちなみにこちらの本は本のご案内のページでご紹介しております。

さて池田和己先生は、学会2日目に発表されました。テーマはRoth Philosophy治療目標の大切さについて。昨年日本矯正学会で発表された内容を英語に直しての発表でした。当院での初診の際にご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、プリティーウーマンのメロディーをバックに患者さんたちの美しい笑顔がスクリーンに映し出されると、会場からは笑いの渦が。最後は聴衆の皆さん総立ちの拍手喝さいでした。最後に日本人のとりを務められたのは名古屋の酒井優先生。3日間の学会をきっちりと締めくくって下さいました。また大阪の足立敏先生は今回大会長を務められるなど、日本人の先生方の貢献を実際に目にすることができました。大成功のうちに幕を閉じた今回の学会。先生方はプールサイドに集い、遅くまで楽しそうに語らっておられました。

3. Hawaiiという国
ワイは今回が初めての私たち。ホノルル空港に降り立ったとたん、茶柱がたっているのを見つけた朝のように、何か良いことが起こりそうな気がして心が躍り出しそうでした。陽の光をいっぱいにあびた空港は、まばゆいくらい明るく輝いていましたし、自然も人もみなが私たちを暖かく迎えいれてくれている、そんな印象を受けました。それに比べて、日本の空港のなんとも殺伐として、味けなかったこと。建物にも従業員の姿勢にも、歓迎という姿勢があまり感じられないのです。日本はハワイに負けないすばらしい伝統と文化があるのに、空港には残念ながら生かされていないようです。

さて、ハワイに話を戻します。今回思い出に残ったことといえば、ゴルフのコースデビューを果たし、ビーチで魚と泳ぎ、そして空を飛んだこと(スカイダイビング)。空から地上を眺めたときの地球の美しかったこと。ハワイには自然を肌で感じることのできるレクリエーションが豊富にありました。波の音を聞きながら眠り、鳥の声で目をさます。プルーメリアの甘い香りとフラの優雅な音楽に誘われ一歩外に出ると、そこには青い空とそれを映した海が五感のすべてを満足させてくれるのです。空間も時間もぎすぎすしておらず、まさに贅沢を絵に書いたような楽園パラダイス。ここにいたら誰だっておおらかな気持ちになれるでしょう。ただ、仕事をする気はなくなってしまいますけれど。

最後に。現地の人が教えてくれました。アロハ(こんにちは)とマハロ(ありがとう)という言葉はホスピタリティの基本であると。この言葉をかけられると自然に笑顔がこぼれてしまいます。私たち受付の一番重要な仕事は、最初と最後の窓口として患者さんをもてなすこと。オフィスに来る患者さんを日本人スタイルのアロハで迎えマハロで見送ってあげたいと思いました。以上、ハワイの空を飛んだ二人からのレポートをこれで終わります。

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CMでお馴染みこの木なんの木 ハワイにあることご存知でしたか?

2003年06月01日 15:31

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