院内だより

診断用X線と自然放射線

 現代の医療において放射線はなくてはならないもので、診断や治療に幅広く利用されています。歯科医療にもX線(放射線の中の一つ)は、歯,歯槽骨,歯肉,歯根膜などの状態、虫歯や根尖病巣の有無、歯周病の状態など様々な情報を与えてくれます。
 当医院には照射野を局所に限定するコンビームCTもあるので、矯正治療をする上で無視できない顎関節の状態も0.1mmの精度ではっきりと見ることができます。

 これらの情報がいかに重要かということは皆さんもおわかりだと思いますが、撮影時におけるX線量が気になる…という方もいらっしゃると思います。歯科用X線は口腔内(当医院では顎関節も)に限定されるため、頭部や内科系のX線撮影時の線量に比べて少なくて済みます。
 例えば、フィルムのパノラマ(口腔内全体のX線写真)1枚のX線撮影時の線量は0.01mSv(ミリシーベルト:放射線から受ける影響の多い少ないを表す単位)です。顎関節CTのX線量はパノラマの4〜5枚分とされています(子供の患者さんの場合には、成人の半分のX線量で撮影しています)。
 それに比べて、胃の集団検診のX線撮影を1回すると0.6mSv、頭部X線CT検査を1回受けると2.0mSvとなります。
 参考として、職業上やむを得ず作業時に被曝する人の一年間の線量限度は50mSvです。一般の方が医療上受ける線量の限度は、受ける可能性がある線量が少ないことと被曝する損失よりも利益の方が多いとされているため、設けられていません。
 そうはいってもX線撮影で最も影響が心配されるのは妊娠中の方(お腹の赤ちゃん)ですので、妊娠中の方やその可能性のある方はお知らせ下さい。

 さて皆さんは、日常生活においても自然放射線を浴びていることをご存知でしたか?私達は宇宙、大気、食物などから絶えず放射線を受けているのです。
 一人が一年間に自然放射線を受ける量は、世界平均で2.4mSvと言われています。場所によっても受ける線量は変わり、日本国内で例を挙げると値が最も高い岐阜県は1.19mSvなのに対し、神奈川県は0.81mSvと1.5倍ほどの差があります。
 海外をみると、ブラジルのガスパリ市街地では10mSvと日本の10倍近い値です。これは土壌中のモナザイトという鉱物のためと言われていますが、住民の放射線による影響は無いようです。
 また、高度によっても線量は変わります。航空機で東京・ニューヨークを往復すると0.2mSvの放射線を受けます。地上から高い所ほど、宇宙からくる放射線(宇宙線)量が多くなるためです。

 放射線の線量を色々比べてみると興味深いので、比較図を載せました。ぜひ見てみて下さいね。不必要な放射線は受けない、浴びせない事は絶対ですが、放射線を少しは身近に感じて頂けたでしょうか・・・
 いずれにしても、当医院ではデジタル化して最小限の線量にし、CTも顎関節部位に限局化したものを使用しております。撮影間隔も十分にあけるよう考慮し、撮影時は防護エプロンを着用して頂きプロテクトしておりますので、安心して下さいね。”少ない線量で、鮮明なX線写真撮影をし、的確な診断を!”これが当医院のモットーです。

 ☆参考資料の比較図です。ぜひ見てみて下さいね。
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2010年10月01日 10:35

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