院内だより

口腔乾燥症・ドライマウス

 冬の乾燥続きの気候も春の訪れと共に和らいでくる頃ですが、季節を問わず口腔内が乾燥してしまう症状があることをご存知ですか?唾液の分泌量が低下して口腔内が乾いた状態になってしてしまう歯科疾患の一つで、‘口腔乾燥症’や‘ドライマウス’と呼ばれています。
 主な症状として、口腔内の不快感(乾燥やネバネバ感など),味覚障害,舌の痛みやひび割れ,口内炎や口角炎,口臭などが挙げられます。口腔内が乾いてしまうので、会話がしにくくなったり、食べ物が飲み込みづらくなってしまいます。唾液の自浄作用や潤滑作用が減少するため、プラークが停滞しやすく虫歯や歯周病のリスクも高まります。重度になると口腔内環境の悪化により、口腔内細菌が肺に入り肺炎を引き起こす誤嚥性肺炎になることもあります。
 唾液の分泌低下には様々な原因があると考えられています。加齢、ストレス、唾液腺障害、口呼吸、食習慣、喫煙、全心疾患の症状(シェーグレン症候群や糖尿病など)、薬の副作用によるものなどです。また、薬剤の服用量が多いと唾液分泌量や身体の水分量が減少し、口腔内が乾燥しやすくなる場合があります。いずれにしても、口腔乾燥の症状が気になったら、重症化する前に歯科医院で診てもらいましょう。

 日常生活においてできる対策をいくつかご紹介します。
☆食生活の改善
 現代の食生活はファストフードやあまり噛まなくても飲み込める物が多く、噛まないことで筋肉が衰え唾液の量が減少します。普段の食生活からよく噛み、咀嚼するように心がけましょう。ただし、顎関節が弱い方はあまり顎を酷使するような食べ物(フランスパンやスルメ等)は避け、関節に負担がかからないように気を付けてくださいね。
☆補助用品の使用
 口腔内専用の保湿・湿潤剤を使用したり洗口液でゆすぐことで、口腔内に湿潤,清涼感を与え不快感を軽減できます。これらはプラークを落とす効果はないので、ブラッシング後に使用します。
001008870_L.jpg4954799119046.jpg→商品の一例。ジェル状の物やスプレータイプなどがあります。
 その他にも、ガム(虫歯になりにくいようキシリトールのもの)を噛んだり、顎の下の唾液腺を軽いタッチでマッサージすると、唾液の分泌が促進されて乾燥状態が緩和されます。喫煙者の方は禁煙にトライしてみたり、口呼吸になりやすい方は鼻呼吸を心がけたりと、ちょっとしたことでもできる事があります。
 また、ストレスが多いと交感神経と副交感神経のバランスが崩れ唾液が分泌されにくくなり、口腔乾燥状態にも影響を与えます。ストレスはドライマウスの他にも様々な弊害を出しますので、気分転換を上手にしたりリラックスできる環境作りを心がけたりして、上手く付き合っていきましょう。
 症状がない方は普段あまり気に留めなかったかもしれませんが、口腔内も潤いが大切です。唾液の重要性を再認識し、分泌低下しないよう気を付けていきましょう!

2012年03月08日 22:19

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