院内だより

“パラタルバーって何のため??”

新しい1年が始まりました。本年もどうぞよろしくお願い致します。
年末年始はいかがお過ごしでしたか?何かと食べる機会が多いお正月、パラタルバー(上アゴの奥歯の間に橋渡しした太い針金でできた装置)が入っている患者さんは少し大変だったかもしれません。このパラタルバーという装置、矯正治療後のアンケートでは常に「大変だった点」で上位に入ってくる強者です…。既に装着済みの方はご存知だと思いますが、入れると舌に当たって話しづらく、肉や葉物など繊維質の食べ物がよくひっかかります。その為、多くの患者さんに嫌われがちなこのパラタルバーなのですが、矯正治療をするうえでなくてはならない存在です。今月は“なぜパラタルバーが必要なのか?”についてお話したいと思います。
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☆パラタルバーの主な作用☆
① 奥歯の捻れをコントロールする
② 奥歯の幅をコントロールする
③ 奥歯を圧下させる
圧下とは歯を歯茎側に入れる動きです。歯は、噛み合う相手がいない状態が続くと自然と上へ出てきてしまいます。これを歯の挺出と言いますが、圧下は本来の歯の仕組みとは逆行する作用なので簡単には出来ません。その為、パラタルバーのような特殊な装置が一定期間必要になってくるのです。また、ミニインプラント(とても小さなチタン製のピン。詳しくは過去の院内だよりをご覧下さい)を併用することで、圧下のスピードを速めることも可能となります。仕組みとしては、ミニインプラントを上アゴの中央に入れ、そこからパラタルバーにゴム製の糸を結びます。パラタルバーがピンを軸に引っ張られ力が加わるため、圧下のスピードが速まります。
※この圧下という動きをする場合、磨き残したプラークがあると一緒に歯肉の中に入ってしまうので、すぐ歯肉が腫れて出血するようになります。注意して奥歯を磨くようにしてください。
④ 奥歯が動かないように固定する
奥歯は容易に前方へ移動する性質を持っています。奥歯が前方へ移動することで、奥歯の噛み合わせがずれてしまう場合にもパラタルバーを用います。
⑤ 上アゴの歯列全体を左右どちらかに移動させる
この場合もミニインプラントを併用します。上アゴの中央にミニインプラントを入れ、そこからパラタルバーの左右どちらかにゴム製の糸を結びます。すると、歯列全体がミニインプラントを軸に引っぱられた方向へ動きます。これにより治療期間を短縮することが可能になるのです。

患者さんによって、期待する効果はそれぞれ異なりますが、1本の太い針金にこんな色々な効果があったのは驚きですよね。作用を理解することで、ぜひパラタルバーとうまく付き合っていただきたいと思います。

今年もスタッフ一同、皆様に一生物の歯並びを手に入れていただく為、全力で治療に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

2013年01月15日 17:12

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