キシリトールとは
２０１０年５月
新緑のすがすがしい季節を迎え、みなさん新しい環境にも慣れた頃ですね。
ヒルサイドでは春から多くの患者さんが矯正治療をスタートしました。矯正装置が入るとブラッシングが難しく、非常に虫歯になりやすくなります。
それでもやっぱり甘い物は食べたいですよね？！そこで朗報☆今回は食べても虫歯の原因にならないうえに虫歯の発生と進行を防ぐ甘味料、キシリトールについてお話していきたいと思います。
キシリトールとは、多くの果実や野菜の中に含まれている天然甘味料です。白樺や樫などの樹木から採れる成分を原料にして生産されています。糖度は砂糖と同程度です。なのにカロリーは砂糖の約 ３／４！ スタイルアップにも繋がりますね。では、なぜ甘いのに虫歯を防ぐのでしょうか？
第一にプラーク中のミュータンス菌（虫歯の原因となる菌）を減少させ、酸の生成を抑制します。ミュータンス菌は通常、糖をエネルギー源として酸を生成します。この酸が虫歯の原因となります。しかし、ミュータンス菌はキシリトール を取込むことができないため弱ってしまい、酸も生成できなくなります。
第二にキシリトールの甘さにより唾液を出させる効果です。
唾液量 が増えることにより口腔内のカルシウムレベルが増大し健康な歯への脱灰防止と再石灰化を促進します。
キシリトールの効果が期待できるのは、口の中に長く溜まるガムかタブレットです。口の中に入れてすぐに飲み込んでしまうと効果が得られないことが実証されているので「口の中に長く留めておくこと」がポイントになります。ガムには噛むことで唾液を出す効果も期待できます。ガムを噛むことができない場合(矯正患者、幼児、お年寄りなど)は、タブレットを長時間口 の中に溜めると効果的です。また、甘味料としてキシリトールが50％以上含まれていることが望ましいといわれています。ただしショ糖（砂糖）が含まれている製品は、酸の発生を促すので、キシリトールの効果は発揮されません。
・効果的な摂り方：キシリトール１００％配合のガムの場合、１日３回１粒を毎食後に。一度にたくさん摂るより、1日に何度かに分けて摂る方が効果的です。（※一度二に大量に食べると体質によりお腹がゆるくなる場合があります。）歯垢を落としやすくするには歯磨き前。歯質を強化するなら歯磨き後が効果的です。また、唾液の分泌が減る就寝前に噛むことも虫歯予防には効果的です。
・噛む時間：キシリトールの成分はおおよそ数分で流出しますが、よく噛んで沢山の唾液を出す事は虫歯予防には大切なことです。ガムの場合は味がなくなっても５～１０分は噛んでください。
・摂る期間：毎日摂ると２週間で歯垢が減り始め３ヶ月ほど経つと虫歯になりにくい環境になると言われています。その頃には『歯がツルツルになった』『口の中がベタベタしない』などといった感じが実感できると思います。しかし、摂取をやめてしまうと、しばらくして再び虫歯菌が増え始め、虫歯になる危険性も高くなってしまいます。虫歯予防のためには。毎日続けて摂る事が大切です。
キシリトールについておわかりいただけたでしょうか。前回お話した フッ化物とキシリトールを併用すると、さらに虫歯予防の効果が増大しますよ。
五月病…口の中で溶けるとスッとした清涼感のあるキシリトールを摂って気分すっきり、リフレッシュしませんか？
よくある質問
Qキシリトールガムは口腔乾燥症の方にも効果的?
口腔乾燥症の方は、唾液量が少なく口腔内のバクテリアが流れていかな いため、カリエスリスクが高くなっています。キシリトールガムを噛むと、 甘さと咀嚼により唾液量が増えます。口腔内のバランスがよくなり、その 結果カリエスリスクが低くなると考えられます。
Qキシリトールを摂ったら歯磨きはしなくても良いのですか？
歯磨きは必要ですが、歯の表面についている粘着性のネバネバした歯垢(プラーク)は、キシリトールによって、落ちやすいサラサラのプラークに なっていきます。そのため、歯磨きで簡単に取り除くことが出来るようになります。
Q何歳ぐらいが最も効果的なのですか? また何歳まで効果があるのですか?
歯の萌出期が最も効果的です。またガムやタブレットを食べることの出来る方なら、何歳の方でも効果はあります。（もっとも、万能薬ではないので、なかには効果 が現れない方もいます。）
Q過剰にキシリトールを摂っても大丈夫? また、胃腸の 弱い方、食事の後、消化不良気味の人でも摂ることはできる?
キシリトールガムを、噛んでいて、過剰に摂ってしまうことは、ありません。胃腸の弱い方、消化不良気味の方でも問題ありません。ただ、まれに下痢が起こりやすくなることが有ります。下痢が続くようなら、一時摂 取するのをやめてください。
Q妊婦がキシリトールを摂っても大丈夫ですか?
天然素材甘味料で安全ですので安心して摂ってください。キシリトールを摂る事により、母親の齲蝕細菌数を減少させることで乳幼児への感染が抑えられるので逆に積極的に摂る事をお勧めします。
2010年05月01日 10:00
